性行為を行った後、下着についていたおりものがいつもと違うと「病気になったのかも?」と不安に感じますよね。
感染症にかかっているかを判断して適切な対応をするには、まずおりものの変化がなぜ起きるのかを理解する必要があります。
そこでこの記事では、性行為後のおりものについての知識や、受診の目安について紹介します。
性行為後おりものが変化する理由
性行為後のおりものの変化には、感染症以外にもいくつかの要因があります。
まずは、なぜ性行為後におりものが変化するのかを知って、正しい対策を行えるようにしましょう。
おりものの変化は正常な反応
結論からいうと、性交渉の後におりものの匂いや量、色が変化するのは正常な身体の働きです。
一時的におりものの様子が変わっても、その後いつも通りの状態に戻れば問題はありません。
しかし、中には感染症やウイルスが原因の場合もあります。
おりものの状態だけでなく、性器や身体の異常もまめにチェックして異変が起きたら早めに対処してくださいね。
膣内で自浄作用が働いている
性行為後におりものの状態が変わるのは珍しくありませんが、なぜこのような変化が起きるのでしょうか。
それはずばり、人間の身体に備わった自浄作用が関係しています。
まず、おりものが分泌される理由は体内に細菌が入り込むのを防ぎ、不要な物質を流し出すためです。
そのため、膣内に多くの細菌や不要な物質があると、正常な状態に戻すためにおりものの分泌量が増加します。
つまり、性行為後におりものが増えたり状態が変化したりするのは、挿入行為によって膣内に入り込んだ異物や細菌を追い出そうと戦っている証拠なのです。
性行為後におりものの量・臭い・色が変化する原因
おりものの変化は量や色、臭いなどいろいろです。
必ずしも原因が特定できるわけではありませんが、それぞれの変化が現れやすい状況というのは存在します。
不安に感じたときは以下の項目を参考に、原因を絞り込んでみましょう。
量が増える理由は雑菌繁殖
性行為後におりものの量が増えたら、膣内に雑菌が侵入していることを疑いましょう。
性器に触れる指や舌、ペニスには雑菌が付着しています。
その雑菌が膣内に入り込むと、それ以上奥に侵入したり、増殖したりしないように、おりものの分泌が増加します。
この自浄作用によって、女性の膣内は整った状態を保てているのです。
臭いが増す理由は膣内射精
性行為後におりものの臭いが変わる原因の1つが膣内射精です。
男性の精子は独特な生臭さがあり「イカ臭い」などと形容されることもあります。
膣内射精をすると性行為後のおりものに聖液が混じるため、生臭かったりチーズ臭かったりする異臭が発生するのです。
気になる人はセックスの後に性器周辺をシャワーで洗い流しましょう。
ただし、膣内まで水を入れたり強くこすったりすると膣内を守る菌のバランスが崩れてしまうので注意してください。
色が変わる理由は膣内の傷
おりものの色が変わっているときは、性行為で膣壁が傷ついてしまった可能性があります。
膣内で起きた出血によって、おりものに血液が混じって変色しているのです。
おりものが薄茶色になっているときはまず膣内の怪我を疑いましょう。
膣壁が傷ついていると感染症のリスクが高まるだけでなく、炎症を起こして重症化する恐れもあります。
おりものの変色が治らないときは必ず医師の診察を受けてくださいね。
おりものの変化で受診をすべき判断基準
おりものの変化で医師の診察を受ける目安は、いつもと明らかに状態が異なるときです。
正常なおりものの特徴や、おりものの状態別に疑える性感染症について解説するので受診の参考にしてください。
白く酸味がある臭いはほぼ正常
正常なおりものは透明か乳白色をしています。
下着についたおりものは黄色っぽく見えますが、これは乾燥で水分が無くなるためです。
また、おりものには膣内を酸性に保つための乳酸が含まれています。
そのため、通常時はやや酸味がかったヨーグルトのような臭いがあります。
個人差や生理周期による違いはありますが、これらの条件に当てはまる場合過剰な心配は必要ありません。
性行為後にすぐ状態が戻ればOK
性行為後、一時的におりものの変化があった場合でも数日程度で元に戻れば問題ありません。
おりものが普段通りに戻ったということは、膣内の自浄作用が正常に行われたということです。
おりものの異常が長期間続く場合は性行為以外の原因があるため、婦人科を受診しましょう。
受診すべき状態と性病の種類とは?
ここでは、おりものの状態別に当てはまる病気をピックアップしました。
性行為以外で感染した、感染症の場合もあるため、状態や症状をチェックしておきましょう。
白色でポロポロしたおりもの
白くてポロポロとしたおりものが出る場合、膣カンジダ症の疑いがあります。
膣カンジタ症とはカンジタという真菌によって炎症が起きる病気です。
カンジタはもともと膣内や皮膚にいる菌ですが、免疫力の低下やホルモンバランスの乱れで増殖すると炎症を引き起こすのです。
黄色や緑色系のおりもの
緑や黄色がかったおりものが出る場合、膣トリコモナスを疑いましょう。
膣トリコモナスとは原虫によって膣内に炎症が起きる性感染症で、おりものの色以外にも泡立ちや悪臭が特徴です。
また、熱いような痛みや排尿時の染みる感覚といった症状も発症します。
プールや銭湯などのタオルやトイレの便座などからも感染するため、症状を感じたら「セックスしていないから」と安心せず早めに治療してくださいね。
悪臭を伴う膿のようなおりもの
黄緑色の膿に似たおりものは、いろいろな性感染症で現れる症状です。
例えば淋病やクラミジア、単純性膣炎、子宮頸管炎などは聞いたことがあるという人も多いでしょう。
これらの性病に感染していた場合、おりものの量が増える、悪臭がするといった症状も現れます。
放置すると重篤化するだけでなくパートナーへの感染リスクも高まるため、すぐに医師の診断を受けてくださいね。
少しでも異変があれば迷わず受診!
白くて酸っぱい臭いがするおりものは正常だと解説しましたが、必ずしも安全というわけではありません。
症状が軽い場合や、おりものに変化が無い場合でも体内ではウイルスや雑菌が増殖している可能性があります。
自分の身体については自分が一番よく分かっているため、少しでも「いつもと違うな」と感じたら専門医に相談してくださいね。
性行為後におりものの変化を予防する方法
おりものの状態が変わるということは、例え病気でなくても膣内に雑菌や不純物が侵入しているということです。
それが原因で炎症を起こす恐れもあるため、できる限り清潔な状態で性行為を行いましょう。
ここでは、おりものに変化をもたらさないための注意点を解説します。
性行為の前にシャワーを浴びる
性行為の前には必ずお互いにシャワーを浴びて、身体に付着した雑菌やウイルスを洗い流しましょう。
男性だけがシャワーを浴びても、女性の身体に菌が付着していると男性の手や性器を介して膣内に侵入してしまいます。
2人で清潔にすることが安全なセックスを楽しみ、おりものに異常を出さないポイントですよ。
コンドームを正しく利用する
コンドームは妊娠予防だけでなく、感染症の予防や雑菌の侵入などさまざまな面で役立つ避妊具です。
コンドームだけで全てを予防できるわけではありませんが、正しく着用すれば膣内を守ってセックスを楽しめるでしょう。
使い方を間違えると効果が半減するため、装着方法をよく確認して使用してください。
行為後はできるだけ早くお風呂に入る
性行為後はなるべく早くお風呂に入り、性器周辺を洗浄しましょう。
膣の入り口に菌が付着したまま放置すると、菌が増殖し膣内にも侵入する可能性が高くなります。
性器周辺を洗う際には、粘膜に優しいデリケートゾーン専用ソープを使用すると安心ですよ。
【まとめ】おりものは自浄作用の証!清潔な性行為でリスクを下げよう
おりものは膣や体内に悪いものを侵入させないための自浄作用です。
そのため、悪いものと戦っているときは、色が変わったり量が増えたりとさまざまな変化が現れます。
おりものの状態が変化しても必要以上に焦らず、必要に応じて専門医に相談しましょう。
また、膣内の環境を悪化させないためにも、性行為は清潔な環境と正しい避妊で楽しんでくださいね。